「に」と「で」が英語の前置詞と対応しない理由
日本語の「に」と「で」は、主に文の中での役割で使い分けます。「に」は存在する場所(公園にいる)、到着点(駅に着く)、時点(7時に)を、「で」は動作が行われる場所(公園で遊ぶ)や手段(電車で)を示します。
英語の in / on / at は、そうした役割ではなく場所や時間の「形」で選びます。「公園にいる」も「公園で遊ぶ」も in the park です。逆に「に」が同じでも、「駅に着く」は arrive at the station、「東京に着く」は arrive in Tokyo と前置詞が変わります。助詞が同じだから前置詞も同じ、とはならないのです。
おおまかな目安は次の3つです。どれも例外のない規則ではありませんが、迷ったときの出発点になります。
場所:同じ「駅」でも at と in がある
at は、その場所を「待ち合わせ場所」「用事がある場所」のような一地点として扱います。in は、建物や部屋などの内部にいることを意識するときに使います。
• Let’s meet at Shibuya Station.(渋谷駅で待ち合わせしよう)
• There are a lot of shops in Shinjuku Station.(新宿駅の構内にはお店がたくさんある)
• I’m at the dentist.(歯医者に来ている=用事の場所)
• It’s cold in the waiting room.(待合室の中は寒い)
on は、面や線に「接している」ことを表します。日本語ではどれも「に」ですが、壁や天井、画面は on です。
• The calendar is on the wall.(カレンダーは壁に掛かっている)
• Our office is on the third floor.(事務所は3階にある)
• The shop is on Omotesando.(その店は表参道沿いにある)
• Your name isn’t on the list.(あなたの名前はリストに載っていない)
「3階に」を in the third floor や at the third floor にする誤りはよく見かけます。階は「床という面の上にいる」と捉えるので on です。同じように、通りは「線の上」なので on(アメリカ英語で特に普通。イギリス英語では in the street も使います)、番地まで言う住所は at 1-2-3 Ginza のように at になります。
都市・国・地域は、ふつう in です。I live in Yokohama. / She grew up in Hokkaido. 「横浜に住んでいる」の「に」に引っ張られて at Yokohama とするのは誤りです。
「テレビで」「ネットで」「写真に」はどれ?
メディアの「で」は、多くの場合 on です。in TV や in the internet は誤りです。
• I saw it on TV.(テレビで見た)
• I heard it on the radio.(ラジオで聞いた)
• I found the information on the internet / online.(ネットで見つけた)
• We talked on the phone.(電話で話した)
一方、写真・絵・本・新聞・メールの「中身」は in です。Who’s that in the photo?(写真に写っているのは誰?)/ I read about it in the newspaper. / As I mentioned in my last email, ... ただしページ番号は on page 12 です。画面やページは「面」、写真や記事は「中に情報が入っているもの」と考えると区別できます。
乗り物:「電車で」は by train か on the train
「電車で通勤する」のように手段を言うときは、冠詞なしの by を使います。I go to work by train. / We went by car. 徒歩だけは on foot です(I walk to work. のほうが普通です)。
「電車の中で」のように乗り物の中にいることを言うときは、a / the や my を付けて on か in を使います。
| 前置詞 | 主な乗り物 | 乗る/降りる |
|---|---|---|
| on | train, bus, plane, ship, bike, motorcycle | get on / get off |
| in | car, taxi, truck, small boat | get in(to) / get out of |
「中で立って歩けるかどうか」で説明されることがありますが、自転車やバイクも on なので、この説明だけでは決められません。乗り物ごとの慣用として覚えるのが確実です。I read a book on the train.(電車の中で本を読んだ)、I left my umbrella in the taxi.(タクシーに傘を忘れた)のように使います。
時間:「〜に」が at / on / in / なし に分かれる
時間の「に」は、時計の時刻なら at、カレンダーの特定の日なら on、それより長い期間なら in になります。
| 前置詞 | 使う時間 | 例 |
|---|---|---|
| at | 時刻、決まった瞬間 | at 7:30, at noon, at midnight, at night |
| on | 曜日、日付、特定の日 | on Monday, on April 1, on my birthday |
| in | 月、年、季節、一日の時間帯 | in May, in 2027, in winter, in the morning |
| なし | this / next / last / every が付くとき、today など | next Monday, last year, every morning, tomorrow |
日本語話者が特に迷うのは次の3点です。
- 曜日と時間帯が重なるとき:「金曜日の午後に」は in the afternoon ではなく on Friday afternoon です。特定の日に結び付いた時間帯は on になります。
- next / last などが付くとき:「来週の月曜日に」を on next Monday とするのはよくある誤りで、正しくは next Monday です。in next week、at this morning も同じ理由で前置詞を外します。
- 「〜後に」:「10分後に戻ります」は I’ll be back in ten minutes. です。after ten minutes は「(過去のある時点から)10分経ってから」という意味で、今から先のことには通常 in を使います。
週末は、イギリス英語で at the weekend、アメリカ英語で on the weekend が一般的です。どちらも正しいので、片方に統一すれば問題ありません。
「に」でも in / on / at を使わない動詞
場所の「に」が、そもそも in / on / at にならない場合もあります。動詞とセットで確認しておきましょう。
「東京に行く」 go in Tokyo → go to Tokyo
移動の到着点は to です。in / at は「そこにいる」状態を表します。
「家に帰る」 go to home → go home
home は副詞として働くので、前置詞なしで使います。go there, go abroad, go downstairs も同様です。ただし「家にいる」は be at home です。
「京都を訪れる」 visit to Kyoto → visit Kyoto
visit は他動詞です。名詞の a visit to Kyoto なら to が要ります。
「成田に着く」 arrive to Narita → arrive at Narita / 「大阪に着く」 → arrive in Osaka
arrive は to ではなく at / in と組みます。空港・駅・建物のような地点は at、都市や国は in が普通です。reach は他動詞なので reach Narita と前置詞なしで使います。
「会議室に入る」 enter into the meeting room → enter the meeting room / go into the meeting room
enter も他動詞です。enter into は「(契約・交渉など)を始める」という別の意味で使われます。
日本語話者に多い誤りの一覧
| 日本語 | よくある誤り | 自然な英語 |
|---|---|---|
| 横浜に住んでいる | live in Yokohama | |
| 3階にある | on the 3rd floor | |
| テレビで見た | saw it on TV | |
| 来週の月曜日に | next Monday | |
| 金曜日の夜に | on Friday night | |
| 5分後に始めます | start in five minutes | |
| 夜に | at night | |
| 駅に着いた | arrived at the station |
in the night は「夜中に(ある出来事が起きた)」という意味では使われます(I woke up twice in the night.)。習慣的に「夜に」と言うなら at night です。
確認問題:「に」「で」を英語にする
6問すべて選んでから「答え合わせをする」を押してください。
1. 「会議室は5階にあります」:The meeting room is ___ the fifth floor.
2. 「金曜日の午後に打ち合わせがあります」:I have a meeting ___ Friday afternoon.
3. 「来週の月曜日に結果をお送りします」として正しいのはどれですか?
4. 「そのニュースはネットで読みました」:I read the news ___ the internet.
5. 「10分後に戻ります」として自然なのはどれですか?
6. 「先月、札幌に引っ越しました」:I moved ___ Sapporo last month.
もっと問題を解きたい場合は、in / on / at の使い分けドリル(場所と時間30問)で練習できます。
よくある質問
「at the office」と「in the office」はどう違いますか?
I’m at the office. は「(自宅や外出先ではなく)会社に来ている」という意味で、居場所を伝える言い方です。I’m in the office. は「オフィスの中にいる」ことに焦点があり、イギリス英語では「出社している」の意味でもよく使われます。日常的にはどちらも通じます。
「in the end」と「at the end」の違いは何ですか?
in the end は「結局」、at the end of 〜 は「〜の終わりに」です。In the end, we postponed the launch.(結局、発売を延期した)/ at the end of the month(月末に)。「月末に」を in the end of the month とするのは誤りです。
「on time」と「in time」はどう使い分けますか?
on time は「予定の時刻どおりに」、in time は「(何かに)間に合って」です。The meeting started on time.(会議は定刻に始まった)/ We got to the airport in time for our flight.(飛行機に間に合うように空港に着いた)。
自分の英文の前置詞を確認する
メールの日時や場所の書き方に自信がないときは、PromGee のチェック機能で英文を見直すこともできます。